14.8.07

Grasse, Mon. July 23rd - the scent of my child

*** translation in progress ***


7/23(月)- 我が子の匂い


(雲ひとつないカラカラの晴天が続いていたのに、今日は久々に曇が出てひんやり)

調子良く起き、調子良く山登りし、学校に到着。
体が山道にすっかり慣れました。
嗅覚を使うことの体力仕事に加え、相当な距離を毎日歩いているから、
ちょうどいい具合に痩せた(というより、やつれた)気がします。


(滞在先B&Bの隣は、ペイヤンという香料工場。この日はシャンプーの匂いがしました。)


(グラースの美しい街並を左に眺めながら、学校へ)


(土もないのに育つハーブのたくましさ。)

朝から合成香料を10種類くらい嗅ぎます。
先週、アルデハイツに鼻がシャット・ダウンしてしまったので、
注意深く、遠くで団扇を扇ぐように。

ランチの後、校長のボディフェ氏に
匂いの抽出に関する個人指導をしてもらいました。
蒸留にしてもわたしはほとんど全て独学なので、彼もビックリ。
彼はその後、私にいろいろなツテを紹介するよう
学校のスタッフに指示を出してくれたようです。
まったくこのカミカゼ・ジャパニーズは無茶なことして・・・
とでも思ったのでしょうか。

ベビーとマザーの匂いの話しで盛り上がりました。
「ベビーの匂いはそれでは、ひとりひとり違うのですか」
「そうです。お母さんの母乳の味がひとりひとり違うからでしょう。
お母さんが何を食べるかにも依りますからね。」
「なるほど。いつごろまでそういうふうに匂うのですか」
「私の経験からすると、母乳を止めて数ヶ月間までです」
「で、その匂いをお母さんとしては、後からも覚えてるものでしょうか。」
「それはもう大切な記憶と直接結びつく匂いなのですから、
嗅げばすぐわかるのではないでしょうか。
もしかしたら、子どもの側も認識できるかもしれませんね。」
「ほう。なるほど。私はそんなこと考えもしませんでしたが、おもしろいテーマです。」
・・・とこんな感じ。

どんなお母さんも、我が子の匂いというものは、
わりと嗅ぎ分けられるものではないでしょうか。
脱ぎ捨てられてるシャツのどれがその子のものかとか・・・
わたしもSenのにおいなら、今も昔もたぶん、目かくしされてもすぐわかる。

B&Bのソランジェもそれはうなずいていました。
「わたしは、朝起きた時の子どもの匂いが大好き。
ふたりの息子を嗅ぎ分けられるのよ。
匂いを自分だけが独占しているという幸福感も味わえるしね。」


(先週調合した、アコードとフジェーの香水。今週嗅いでみると、まろやかに。)

学校が終わった後は、コースケくんと偶然帰りが一緒になったので、
カフェでゆっくり話しました。
サムライのような風貌で、力のある目の持ち主である彼は、まだ19歳・・・
若いのに芯がありそうなのには、やっぱりわけがあります。
高校で生物化学を学んだ後、香水を勉強したくて、単身フランスに来たのだそうです。
1年半の間、語学学校でフランス語を学び、いろんな体験もすると、
それなりにまた視野が広がり、
「香水もやりたいけど、他にもいろいろやりたいこともでてきたんです」と。

話しを聞きながら、じぶんの18歳くらいの、ちょうどアメリカ留学を終えたころに重ねていました。
留学する前の私は、世界を駆けるフォト・ジャーナリストになりたかった。
憧れの人といえば、ユージン・スミス(水俣病を追った人)や吉田ルイ子(黒人開放を追った人)。
ところが実際留学してみると、
もっと「表現」して「交流」したくなり始めた。
アメリカでは、絵を描くことこそが私のアイデンティティであり、
私なりのコミュニケーション手段でした。そのせいかもしれません。
そんな経緯が今の私の根となっています。

彼は香水だけでなく、クラシック・ギターも愛している。
そして旅行もして、もっと世界を見てみたいと思っている。
その夢や希望、ものすごくよくわかる。
匂いと音、どちらも世界に通じる「共通語」。
その言葉を、使ってみたいんだよね ---
これからどういうふうに彼が「発展」していくのか、とっても楽しみ。

帰り道。
後ろから走って追いかけてきた人がいた。
びっくりして振り返ると、目がキラキラしてニコニコした若いお兄さん。
「エクスキューズ・ミー。アー・ユー・ロンリー・トゥナイト?」と。
・・・この清々しい誘い方に、ちょっと面食らう。
ロッテルダムのようなスレた都会ではこんな言葉は聞かないなー。

夜、月を追いかけ、いちじくの木の香りを辿り、川のせせらぎを聞きながら家に着く。

Grasse, Tue. July 24th - the secret project

*** translation in progress ***

7/24 (火)- ロレンス先生の密かな企て

クラスに昨日からひとり、新しい人が参加しました。
その人はスペイン人の中年のおじさんなのですが、
協調性のないことばかりをしでかすので、クラスから顰蹙を買っています。

先生のロレンスは
困ったといった顔ひとつせず、クールに優雅に対応するのですが、
彼が席を外すタイミングになると、
「あの人、変よね。まるで病気だわ。」と本音トークを始める。
あくまでも優雅なジョークで、穏やかな笑いを誘うのです。
「もちろん怒ったり苛ついたりする方法もあるでしょうけど、
鼻を酷使してフィジカルなことをしてるのだから、
笑い飛ばすのは体にいいのよ。
それに不思議なことに、匂いを嗅ぎ続けていると、体が反応するのか
笑い上戸になるのよね。」
こんな先生が私たちの担当で、ほんとうに良かった、と思いました。



朝いちのテストは、昨日嗅いだ香料のテストなのだけど、
合成香料なので私には難しい。
自然の香りなら体が喜んで嗅いでくれるのですが・・・。

新しい合成香料を10種類嗅ぎます。
昨日に引き続き、なので鼻がやや疲れ気味。
中には、今日はまったく鼻が反応してないという人もいます。
そういうときは、少しだけ嗅いで鼻を休めて、また時間をおいて少し嗅ぐ、
ということを地道に続けるといいのだそうです。
すると鼻のセンサーがまた開いて、嗅げるようになる。
私もまだ、indolが入っている香りに対しては鼻が反応しません。
中には鼻が反応するまで1ヶ月かかったりする場合もあるそう。

昼食はCabris村のレストランで。
たまたま校長のボディフェ氏の近くに座りました。
彼はドイツ生まれのオランダ人で、フランスに住んで長い。
エネルギッシュで声が大きくて、一度会ったら忘れられないインパクトの持ち主。
もともと技術者だった人が、こういった創造性を重視する香水学校を創設した、
そこにどんな経緯があったのでしょうか。
というのは、この学校はこれまでのフランスの香水学校の中でも、世界的にも、
かなり画期的な学校なのです。
理由は
1:英語で授業がおこなわれる
2:伝統的なパフュマリーで必要とされる化学を必須とせず、創造性をより重視する
3:短期コース(2週間)や長期コース(1年)を両方設け、レベルを学生と社会のニーズに合わせる(ふつうの香水学校は4年制だったりするのですが)

昼休み後は、眠気ナマコをこすりながら
(いつものことだけど・・・フランスってランチでワイン飲むのだもの・・・)
また新たな10種類を嗅ぎます。
ずっと合成香料ばかりなので、頭がくらくらしてきました。
その後、テストーーー8問中6問正解。

夕食はクラスのみんなと先生とで、インド料理を食べに行きました。


(フラビア、コースケくん、バレリー)


(アツコさん、ロレンス先生)



(魔女)


(レスリー、ダナ、アツコさん)



話題はミスター問題児でもちきり。
いつも彼に質問攻めにあって困っている先生は、ひそかなリベンジを企てました。
彼はクラスで唯一のスモーカーで、学校は禁煙なのでいつも貧乏ゆすりなどしてるのですが、
「それじゃあ朝イチのテストに、タバコの香料を入れてみましょうか。
あら、なんかタバコの匂いするわね〜 誰か吸ってたのかしら〜 なんてね。」
優しいロレンス先生の、鼻を使ったリベンジ。優雅だけどこわい。


(だんだん盛り上がってくる)

<追記>
結果的には、
数日後の朝のテストにタバコの香料が紛れてたのですが、
どの生徒も当てることができず、
私たちの嗅覚の鈍さでこの企ては失敗に終わりました。(^^)


(グラースの夜道)

Grasse, Fri. July 20th - the secret of perfume

*** translation in progress ***

7/20(金)- 調香の魔法

朝はいつもより早く8時半に集合。
なぜかというと、近郊の香料用植物園を訪れるため。
6月にオープンしたばかりで、
観光客への開放と、植物の育成技術の研究と保存を目的としています。

エントランスをくぐるとまずは菩提樹がある。



この乾燥した気候の下で、湿気を保つためにと
わざわざ噴射機がそれぞれの木につけてある。
その下は霧が漂い、とても涼しい。
いわゆるお釈迦様が悟りを開いた菩提樹。
それが香料であったとは。
霧のせいであまりその匂いが嗅げなかったのは残念。
(匂いは、適度な温度と湿度の下でないと嗅げないものなのです。高すぎても低すぎてもダメ)

グラース産として有名なラベンダー、ジャスミン、ローズ・デ・メイ、チュベローズなどが見られるのは、観光客の期待を外さない。




(チュベローズ)


(チュベローズは、どことなくクチナシの匂い)


(案内してくれた植物園の技師おじさん)





それを囲むようにして、ミントやバジルやティモシーなど、よく見かけるハーブがある。



予想外なのはトマトやメロン、いちじくの木。
名前も知らず、匂いも判別できないような未知の植物を嗅げたのは、収穫。








(これがかのベティバー)




教室に戻り、いくつかの香水を嗅ぐ。
資生堂の「Feminite de Bois」は、これまでも嗅いだこともあるし、
ボトルのいわゆる「ジャケ買い」をしそうになったこともあるほど好きなのですが、
あらためて分析的に嗅いでみる。
なんと深みのある、色艶ある、調和のとれた香りなのでしょう。
女性的でいて、男性的でもある。
若い頃は自分がこの匂いに負けそうで、
同じ資生堂でも爽やかなZenなどを選んだものだけど、
そろそろこんなのをつけてもいい年齢になってきたかもしれない。
こう書いておけば、誰かプレゼントしてくれるかしら。(^^)

午後は、男性用フジェー・タイプの香水について。
昨日のようにレシピを推測し、
一般的に良しとされている配合を当てることができたら、合格。
この作業の辛いのは、個々の香料の匂いを嗅ぐことはあっても、
できあがった香水の匂いを嗅いだ上で推測するわけではない点。
その作業はあたかも「机上の空論」のようだけど、
まさにそうして机の上で匂いを合成してイメージしていくわけで。
経験がないと、まったく想像もつかない。
わたしはまさにその経験がない派なのだけど、
なかなかいい線をいっていたようで、上達が早いと先生に褒められました。



スキームを元に調合している最中に、
どさくさにまぎれて全くのオリジナル・パフュームを作りたがる人が出て来て、
先生はそれに難色を示していたけど、
結局みんなやり始めてしまいました。
わたしはというと・・・
もともと香水というものにあまり興味が無かったのもありますが、
(それなのに香水学校に来てるってのも変だけど。匂いには興味あるのよ。)
完成度の高い Feminite de Boisのようないくつかの香水を嗅ぐうち、
スクラッチから創造するなんて今のわたしの度量を超えていると判断。
先生の言われるとおり、
教えられたフォーミュラに自分なりのアクセントを加えることに徹しました。

でもこれが結果的にはとてもいい勉強になりました。
男性的にスパイシーにと、クローブ・オイルを足すことにします。
10, 15, 20 と慎重に、その都度嗅ぎながら足していきましたが、
15の時で迷う。
これはいい感じ。でももうちょっといけるかもしれない。
そして20に達すると、急にその香水の香りが「スパイシー」に急変してしまったのです。

そこで先生に相談。
「やり方は悪くありませんよ。
そうねえ。クローブは時が経つにつれ、もっと強くなっていくだろうから、
スパイシーさを補完するのに、シトラスを加えてみては。」
とのこと。

シトラスは、いわゆるレモンの香りの合成香料です。
アドバイスに従い、ほんの少しだけ(10)シトラスを加えてみると・・・
あらまあ。
クローブの強みが補正されて、優雅なフジェーのできあがり。

調香の魔法ってこのことをいうのか・・・。

授業が終わってから、同じクラスのヨウコさん、アキコさんをB&Bに誘い、
ワインとサラダで楽しくお喋り。
オンナの会話は、とっても楽しい。
仕事の話しとか。恋人の話しとか。
日本で今年の4月に法律が変わって、周囲がみんな離婚しだしたとか・・・。
(日本はよくも悪くも、いつもサプライズを提供しくれます。)



彼女達が帰ってからの夜更けは、B&Bのオーナーとワインを軽く交わす。
ここの女主人、とてもナチュラルでオープンで私は最初の瞬間から気が合ったけど、
今日は化粧品の話しで意気投合してしまった。
彼女:
「最近さすがに44歳になって、
シャワーのあと肌がパリパリしてワニみたいだから、
スーパーで初めてクリームを買ったのよ。
いっぱいあって、ビックリしちゃったわ。」
わたしも、化粧品は全くといっていいほど買わず、(安上がりです)
ナチュラル系のWELEDAのものさえ買っても3日坊主。
「美容液」というものが化粧水とも乳液とも違うものだと知ったのがつい2、3週間前。
じつは米ヌカで洗顔をしてるので、それ以上の必要性を感じないのです。
この時点ですでにオンナ失格だけど、上には上がいるものだわ・・・。(^^)
ちなみにこの人は、どう見ても30代後半にしか見えないほど、
生き生きとしてて若々しい。
見習おうっと。

Grasse, Wed. July 18th - composition and a cord of perfume

*** translation in progress ***

7/18(水) - 香水の調和と作曲


(学校に行く途中の道ばたで)


(ペルーのアンデス山脈でも見かけた、ピンクの胡椒の木)

朝のテストは、10種類の香料の嗅ぎ分け。
みごと全問正解。すばらしい。
これまで香水や精油に関して名前を覚える努力をしなかったわたしだけど、
やればできるんだー、とホッとしました。



その後また新たに10種類くらいの天然香料を嗅ぎました。
この学校では匂いを嗅ぐとき、
それをパフューマリーで使われる言葉で表現することで覚えていくのだけど、
わたしはなるべく自分の匂いの記憶と結びつけたり、
匂いから喚起されるイメージを記述したりして、覚えます。
それぞれの匂いはまた時間軸に沿って様々な変化を見せるので、
時間の感覚と共に覚えるのも欠かせません。



中にCistusという、つかみどころのない匂いに当たりました。
目をつむると「薬包紙に包まれた赤茶色の粉薬」がなぜか思い出されて来ます。
何の薬だったか、ほんとうにそんなものを飲んだかさえも覚えてないけど、
そのテクスチャーまで鮮やかに思い出してくるのです。
ここまでくれば、「この匂い=Cistus」という関連はもう忘れないでしょう。

いかにそれまでの人生で、豊かな匂いの体験や経験を積んで来たか、
が鍵だと思います。
言語を学ぶには若い方がいいかもしれないけど、
感性を磨き続けて来た人なら、
歳を重ねてから匂いを学ぶのも全くハンディはないのではないでしょうか。
(・・・と自分を納得させつつ)

ランチは、またレストランに食べに行きました。
ここの何が美味しいかというと、「空気」。
カンヌの海からの風が吹いてくるので、
鼻をリフレッシュするには最高なロケーションです。
ロレンス先生、午前中は頭痛で辛そうだったので、指圧マッサージしてあげたら、
「よくなったわ」ととても喜んでくれました。嬉しい。


(ブラジルからのフラビアと共に)


(左からコースケ君、ロレンス先生、ヨウコちゃん)

午後は、香水において欠かせないアコードについて。
香水道まったくの初心者のわたしは、
アコードは何かというところから覚えていきます。

具体的にいうと、
ゼラニウムとラベンダーふたつの香料をパレットとして使う時、
それぞれどのくらいの割合を調合したらいいのか、がアコードの問題です。
ゼラニウムというのはローズのような、まろやかで強く、暖かみのある香り。
同量ずつ調合したら、
ゼラニウムのwarm色が強すぎる香水になってしまい、
ラベンダーのfreshとかrusticとかいった特徴を相殺してしまう。
それなら、ゼラニウムを3にして、ラベンダーを7にしてみるのです。
これならトップノートのラベンダーを充分堪能した後、
徐々に深い味わいのあるゼラニウムの香りも堪能できます。

特定の紙に、5:5か、4:6か、3:7かなどと書いて、
先生が採点し、「これはもう少し上」「もう少し下」と指示してくれます。
でまた推測しなおして、先生が採点する、の繰り返し。
地道な作業です。
合格すれば、実際に10mlの瓶に調合します。

私なりに理解したアコードというものは、以下のような感じです。
例えば香水を作る作業を、作曲にあてはめてみるとする。
適当に音を散りばめていくと、不協和音になる。
でも ド と ミ と ソ を組み合わせると、C調の「ハーモニー」が生まれる。
このハーモニーこそ、アコード。
アコードが何重にも何回にも組み合わさって、
タイミングが加わっていくと、
そこにストラクチャー(構成)という意図が加わり、
立派なコンポジション(作曲)になる。

音楽でいうストラクチャーは、香水自体の特徴を構成すること、ともいえる。
たとえばシトラス系の匂いは揮発性が高いから、すぐに匂い立っては消えるけど、
ウッディ系の匂いは背後に流れる低音のようにずっと重く響き続ける。
ハーモニーを重ねて、シンフォニー(交響曲)のような香水が作れれば、
それはもう立派な調香かもしれない。

私の例えが正しいかどうかは別として、
パフューマリーを音楽に例える人がけっこういるのは面白い。
あまり美術に例える人はいないのはなぜでしょう。
こんどやってみよう。

これまでは単体の香りの抽出を試みてきた私なので、
こういう混ざったものにはどうも興味が持てなないでいました。
でもこういったアコードのマジックには深みがあり、
片足踏み入れたとたん、どんどんハマってしまいます。

授業後はスーパーに買い出しに出かけ、簡単な夕食。
毎日ヘトヘトなのです。
出発前の先週にひいた風邪をまだひきずってて、
喉と鼻の奥がまだ腫れているので、早めに就寝。

Grasse, Thu. July 19th - about a cord

*** translation in progress ***

7/19(木)- 門は叩いて開ける

早起きして、ヨガをやる。
パフューマリーは、思った以上に体を使う仕事なのです。
水をいっぱい飲んで(1日に軽く3リットル以上飲んでます)、汗をかかないと、
匂い物質が体に蓄積して、
うまく嗅げなくなってしまうのです。
ヨガをやると感覚が鋭敏になるし、体もきれいにしてくれるので、ちょうどいい。


(朝日の気持ちいいB&Bの部屋)

わたしは匂いを嗅ぐ時、
呼吸をコントロールすることで嗅覚の焦点をコントロールしようと試みてます。
ヨガの呼吸法をやってるみたいな感じです。
うまくできると、匂いのテキスチャーを繊細にとらえることができるようになる。
デジタルカメラに例えると、
2万ピクセルだった解像度が、10万ピクセルに上がる、といった感じかな。


(学校の正門)


(正面玄関にあるオレンジの木)

朝のテストはまあまあのできで、10種類中、8問正解。
一般的にわかりにくいといわれる香料を当てるかわりに、
これは簡単だよねといわれる香料を外したりする。

今日は更にいくつかの天然香料を嗅ぎつつ、
蒸留などの香料抽出法を学びました。
全部知ってることだったので、もの足りない・・・。

午前中最後に嗅いだアルデハイツ(合成香料)にどうも敏感らしく
気持ち悪くなりながら、ランチタイムに突入。

何を食べても、アルデハイツの味がします。
どういうことでしょう。
このアルデハイツ、名前もなんとなくムキムキで堅苦しく、とっつきにくいですが、
実際どんな匂いかというと腐った油とかヤニとか、とにかくネチネチしたにおい。
この香料、シャネル5番に初めて使われ、
フローラルな香りの発起剤となる画期的な香料とされるものだけど、
私は苦手らしいです。
香水全般が苦手なのには、ここに原因があるのでしょうか。
(香水学校に来てるくせに、ほんとうに香水とか化粧品とか苦手なのです。
これまで買ったことのある香水は、たったの3本・・・。
名前を知ってる香水さえ、両手で数えられるくらいかも・・・。)

ランチではなぜか、ロレンスの近くに座ることが多いので、話しが楽しい。
私のパートナー団体であるFoAMの「フレーバー・カプリング」の話しもしました。
先生は日本で抹茶チョコレートにハマったとか。
オレンジとチョコレートの組み合わせの素晴らしさも教えてくれた。
プロヴァンスでは、苺・ミント・オレンジフラワーの組み合わせが好まれるとか。
どんなのでしょうか。想像できません。
「スイカに、塩かけて食べると美味しいよ」と教えるジャパニーズ。
「ダークチョコレートには、塩を入れると甘みが増していいのよ」と教えてくれるフレンチ。


(チョコレート・ケーキもどことなくアルデハイツの味が・・・鼻と口がつながっている証拠。)


(シモンは、タルト・タタンをリクエスト。とっても幸せそう。)

午後、オー・デ・コロンのスキームを推測する作業。
スキームというのは、いわゆる香水のレシピのことで、
アコードの何倍も複雑。
私自身がいわゆるオー・デ・コロンのパフュームをあまり嗅いだことがない(だって持ってないもん)ことと、
ロレンスが私の答案の採点をミスったことで、
推測にかなり手こずってしまいました。
あまり知らないタイプのパフュームのスキームを推測するって・・・
たしかに難しい(笑)

その合間を見計らって、学校のヘッドクラスの人たちに話しをしに行きました。
ここに来たからには、香りの抽出についての技術的な知識ももっと深めたい。
明日は金曜日だし、今日の木曜日を逃したら捕まるのは来週だし、
それよりは早い方がいいと思われた咄嗟の判断。
(ヨーロッパ人は金曜の午後から週末休暇をとるので、金曜日はたいてい仕事にならないのです)
校長室を訪れ、私のプロジェクトを説明し、
「誰かいい人を紹介してください」。
すると自分もオランダ人だという校長先生、
「僕はもともと技術者です。月曜日に時間をとりましょう」と快諾してくれました。
校長先生自らが教えてくれるなんて・・・門は叩いて開けてみるものですね。
実は、ちょっと図々しいかなあと内心思った上での行動だったのです。
パフュマリーの世界は、ヒエラルキーが固く、保守的で秘密主義の世界だと聞いてましたから。

とりあえずの収穫に満足し、
授業後は、学校併設のプールで泳ぎました。
雲一つない空、まだ緩まない午後の太陽、垂れ落ちるブーゲンビリア。
水色のキラキラしたプール。
恥じらいのないトップレス。
ここは南仏コートダジュールなり。


(いちおうトップレスがいない時に撮りました。思わず探してしまいましたか?)


(学校帰りにいつも道ばたで匂いを嗅いだいちじくの木。)

Grasse, Tue. July 17th - Smelling is Experiencing

7/17(火)Smelling is Experiencing


(写真:朝日を浴びるオリーブの木)

朝、B&Bのミシェルが学校まで送ってくれたので、
山登りはせずに済み、
エネルギー満タンで授業に臨めました。

今日は天然香料を12種、
香水10種のエバリュエーション(官能評価)。

西洋と東洋の文化の違いか、意外な評価が出てきたりします。
powdery とか、oriental とか heavy / light とか。
「えー? そうかなー」と思いつつ、
ひとつずつ嗅ぎながら、言葉と匂いを結びつけていくしかありません。

わたしはこれまでの作品作りで、
天然の香りの抽出ばかりしているので、
鼻のチューニングがそこに合っているらしく、
濃縮されたこれらの香料は、強すぎるようです。
みんなのように鼻の前にムエット(匂い試験紙)をもってきて嗅げない。
で、どうするのかというと、
ムエットをうちわのようにパタパタ扇いで、
空気中の微妙な匂いを嗅ぎ分けるようにします。

ところが。
教室に充満しているバラの合成香料の匂いに鼻が麻痺しているのか、
ローズとか、バイオレットとか、Indolという成分が入ってる匂いがうまく嗅げません。
花の匂いを通り越して、なぜか冷蔵庫の匂いがするのです。
まあ冷蔵庫に保存されているので、実際に匂いが移るってるのでしょうけど、
あんなに強いはずのローズの香りがわからないとは・・・。
これも鼻のフシギです。
(翌週、ちゃんと嗅げてたし)

学校に行きながらそういえば、と思い出したことがあります。
小学校に入った頃からイトコの影響で、
原宿の「生活の木」に通って、
遊びレベルだけど、ポプリを調合していたのです。
(そんな小学生って、当時はふつーと思ってたけど、今考えると珍しいかも・・・
今でも存続している「生活の木」も素晴らしい。)
そして今30歳過ぎで、嗅覚をあらためて開こうとしているなんて。
回帰願望でしょうか・・・。

思い返してみると、
感性ーーーそれは育むことはできても、教えることはできないものかもしれません。
わたしは芸術学校には行かなかったけど、
自分で自分なりに種まきして、育む環境を選んできたもの。
たとえば感性の強い人と一緒にいることは、それだけでいい環境でした。
目は大学時代の先生から、耳ならいまの旦那様から、
そのコミュニケーションの中で育んできたと思う。
この調香師養成学校にもけっこうな額の授業料を払ってるわけだけど、
「教えてもらう」という姿勢は考えてみれば無理な話し。
嗅覚を育む環境を提供してもらっている、と肝に銘じよう。

クラスメートたちは、私のプロジェクトにとても興味津々で、
口を揃えて「おもしろい試みー!」とコメントしてくれます。
ロレンス先生も冗談まじりに、
「桜の匂い、もしかしたら注文がいっぱい来たりするかもしれないわ。
生産が間に合わなくならないように注意してね!」と。

ある薬学部在籍のフランス人学生と休み時間に話したことが、印象深い。

彼女:
「この授業で、ひとつの匂いを時間をかけて嗅いで、
その変化を楽しむ方法を知ったけど、
ふつうは香水選ぶときに始めのトップ・ノートだけ嗅いで
好きか嫌いかを判断してしまうよね。
それってもったいないよね。」

わたし:
「そうだね。
匂いを嗅ぐってことは、ただ嗅ぐのではなく、体験するってことよね。」

Smelling is Experiencing.

我ながら、名言かも。(^^)



今日はドライトマト・ペーストのパスタとサラダで夕食。
お供は「ローズ・ロゼ」という、プロバンス独特のローズ味のロゼ。


(写真:私が滞在したB&B)




以下の写真は、グラースの道ばたに見つけた花々です。
ここはフランスの南国パラダイス。