*** translation in progress ***
7/18(水) - 香水の調和と作曲
(学校に行く途中の道ばたで)
(ペルーのアンデス山脈でも見かけた、ピンクの胡椒の木)
朝のテストは、10種類の香料の嗅ぎ分け。
みごと全問正解。すばらしい。
これまで香水や精油に関して名前を覚える努力をしなかったわたしだけど、
やればできるんだー、とホッとしました。
その後また新たに10種類くらいの天然香料を嗅ぎました。
この学校では匂いを嗅ぐとき、
それをパフューマリーで使われる言葉で表現することで覚えていくのだけど、
わたしはなるべく自分の匂いの記憶と結びつけたり、
匂いから喚起されるイメージを記述したりして、覚えます。
それぞれの匂いはまた時間軸に沿って様々な変化を見せるので、
時間の感覚と共に覚えるのも欠かせません。
中にCistusという、つかみどころのない匂いに当たりました。
目をつむると「薬包紙に包まれた赤茶色の粉薬」がなぜか思い出されて来ます。
何の薬だったか、ほんとうにそんなものを飲んだかさえも覚えてないけど、
そのテクスチャーまで鮮やかに思い出してくるのです。
ここまでくれば、「この匂い=Cistus」という関連はもう忘れないでしょう。
いかにそれまでの人生で、豊かな匂いの体験や経験を積んで来たか、
が鍵だと思います。
言語を学ぶには若い方がいいかもしれないけど、
感性を磨き続けて来た人なら、
歳を重ねてから匂いを学ぶのも全くハンディはないのではないでしょうか。
(・・・と自分を納得させつつ)
ランチは、またレストランに食べに行きました。
ここの何が美味しいかというと、「空気」。
カンヌの海からの風が吹いてくるので、
鼻をリフレッシュするには最高なロケーションです。
ロレンス先生、午前中は頭痛で辛そうだったので、指圧マッサージしてあげたら、
「よくなったわ」ととても喜んでくれました。嬉しい。
(ブラジルからのフラビアと共に)
(左からコースケ君、ロレンス先生、ヨウコちゃん)
午後は、香水において欠かせないアコードについて。
香水道まったくの初心者のわたしは、
アコードは何かというところから覚えていきます。
具体的にいうと、
ゼラニウムとラベンダーふたつの香料をパレットとして使う時、
それぞれどのくらいの割合を調合したらいいのか、がアコードの問題です。
ゼラニウムというのはローズのような、まろやかで強く、暖かみのある香り。
同量ずつ調合したら、
ゼラニウムのwarm色が強すぎる香水になってしまい、
ラベンダーのfreshとかrusticとかいった特徴を相殺してしまう。
それなら、ゼラニウムを3にして、ラベンダーを7にしてみるのです。
これならトップノートのラベンダーを充分堪能した後、
徐々に深い味わいのあるゼラニウムの香りも堪能できます。
特定の紙に、5:5か、4:6か、3:7かなどと書いて、
先生が採点し、「これはもう少し上」「もう少し下」と指示してくれます。
でまた推測しなおして、先生が採点する、の繰り返し。
地道な作業です。
合格すれば、実際に10mlの瓶に調合します。
私なりに理解したアコードというものは、以下のような感じです。
例えば香水を作る作業を、作曲にあてはめてみるとする。
適当に音を散りばめていくと、不協和音になる。
でも ド と ミ と ソ を組み合わせると、C調の「ハーモニー」が生まれる。
このハーモニーこそ、アコード。
アコードが何重にも何回にも組み合わさって、
タイミングが加わっていくと、
そこにストラクチャー(構成)という意図が加わり、
立派なコンポジション(作曲)になる。
音楽でいうストラクチャーは、香水自体の特徴を構成すること、ともいえる。
たとえばシトラス系の匂いは揮発性が高いから、すぐに匂い立っては消えるけど、
ウッディ系の匂いは背後に流れる低音のようにずっと重く響き続ける。
ハーモニーを重ねて、シンフォニー(交響曲)のような香水が作れれば、
それはもう立派な調香かもしれない。
私の例えが正しいかどうかは別として、
パフューマリーを音楽に例える人がけっこういるのは面白い。
あまり美術に例える人はいないのはなぜでしょう。
こんどやってみよう。
これまでは単体の香りの抽出を試みてきた私なので、
こういう混ざったものにはどうも興味が持てなないでいました。
でもこういったアコードのマジックには深みがあり、
片足踏み入れたとたん、どんどんハマってしまいます。
授業後はスーパーに買い出しに出かけ、簡単な夕食。
毎日ヘトヘトなのです。
出発前の先週にひいた風邪をまだひきずってて、
喉と鼻の奥がまだ腫れているので、早めに就寝。
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